プロット

熱(ねつ)のプロット

アンダー・ドッグ(2023.8.21)

1

目を開けて少し目が慣れると、ぬるい浴槽に浸かっていたんだと気づく。

電気を消したまま浸かっているから、窓からの光が水面に映ってゆらゆら揺れて眩しい。

腕を水面から出して浴槽の端を掴むと、水が指の隙間にまとわりつく。

壁の水色のタイルの溝には赤カビが生えていて、最後に掃除したのはいつだっただろうと思う。

正面にはリコの後頭部が見える。

リコを後ろから抱いて、頭を撫でている

きしめんの、交代しよ、ジュンの坊主頭撫でさせてよ

無視して、きつく抱きしめる

「俺と一緒に居てくれるって何度も言ってくれるのは嬉しいけどさ、俺といるってことはリコの時間を奪っちゃうことになるんだよ」

「別の男と今のうちに過ごしなよ。若さは財産だよ」

父親のコペン、荷物も全然乗らない、壊れかけててオープンカーにできないどころか運転席側の窓が開かない

FIAT500乗りたいね。家賃3万のワンルームで二人で住んでんのに何言ってんのって感じだけど

そのためには大学行き始めないとね

本当、7月になったもんな。2ヶ月行ってないから、そろそろ単位やばいのかな

リコ、高卒なんだから本当、気をつけてよ。中退なんてしちゃったら、2人で路頭に迷っちゃうじゃない

リコは脚を水面から上げて壁のタイルの溝を脚先でなぞっていく

後ろからくすぐる

浴槽の縁に置いたままのアロマオイルの瓶が音を立てて落ちる

上半身を乗り出して掴み取る

割れてはいない

柔らかい肌ごと摘み取るように歯を当てる

「そんなこと言って私が他の奴のとこ行ってもいいの?」

「リコがそんなことすると思えないさ」

噛みつき返してくる

「自信たっぷりなのね、インポのくせに」

乳首を口に含んで軽く噛むと、息が漏れるような小さな声を出して下腹部を痙攣させる

「バカ」

「ねぇ、リリーに行こう」

 

2

靴が玄関に収まりきらなくて、廊下に並んでいる

散らかった部屋を出れば、空の色はもう薄くなっている

ドアを閉めて靴紐を結ぶために、前の段差に腰掛ける

坂の下には街が見える

気づけば気温は上がって日は長くなっている

季節は過ぎていくのに、リコといると時間はゆったりを流れているように感じる

いつも、何故だろうと不思議に思う

 

2

大学裏の小さなシーシャ店「リリー・シーシャ」は、僕らの行きつけになっていた

雑居ビルのコンクリートの壁は、すすけてひび割れている。建物の一階の階段を少し下った場所にあって半地下のようになっていた。

狭い店内にさらに物が積まれてて通気性も悪いものだから、梅雨の時期はいつも煙たかった。

店内

細々としたオブジェクトが印象的(宇宙飛行士)

豆電球、照明

マリブ・モリン・カリブ・ピーチツリー

むせるような香り、粒が鼻腔につくような重めの感触

コポコポ音をしながら、焚き上がっていく

「ねぇ、エマさん。俺めっちゃここ好きなんですよ」

「ジュンは、毎回言うよな」

僕らに背を向けて男にしては細身の身体で棚からフレーバーを取り出している

節のしっかりとした指にはリングが付いている

エキゾチックなキャップをいじる

アルファーヘル、デクラウドとか基本的なフレーバーもあるけれど、エマさんの一番美味しいと思うものが60種類ある。その中には現地で直接仕入れてきたものもあった。

基本的にフルーティーで甘い味わいのものが多い。

 

2

炭の入った穴の空いたカップに三日月状の穴の3つ空いた蓋を被せて、5分くらい蒸らす

3回くらい吸って味を確かめる

こまめに煙の出が悪くなってないか、フレーバーが焦げてないか確認するために吸って調整する

「はい、リコちゃん、ライチ。アズアーのね」

リコは12秒同じ強さで水の音がなる程度吸う

キツすぎて、吸い込んだ途端にむせる

「ジュンは?」

「アフザルのジンジャエールで」

「今年で二人とも28ですよね。本当、二人とも大人です」

「そんなことないよ」

エマさんが煙を吸う。煙を口へ入れすぐ口を大きく開けて吐き出す。

むせるような甘い香りが鼻腔をくすぐる

それを紛らわせるようにカウンターに手のひらをつけると冷たい

「ジュンとリコは22だっけ?」

「そうです」

「でも、あんまりお客さん多くないですよね」

エマさんは口の端だけで笑う

「カシバシさんたちくらいだもんね、ここの常連」

「私たちも常連ですよ!」一通り吸い終えたリコが笑顔でそう言った

 

3

「こんな早い時間から来てないで、どっか遊びに行きなよ」

「ここが好きだから、きてるんですよ」

「ちょっとフレーバー、上に探しに行くから2.3分待ってて」

「ねぇ、ジュン。どっか行きたいとこないの?」

「あんま、無いんだよな」

「前もそう言ってたじゃない?次まで考えとくって」

「どこでも良いけどね。いつか海行こう、海」

「海なんて行って何が楽しいのよ!」

「もう!」

「頭痛いかも」そう言いながら小さいソファに横になる

厨房の方に行って蛇口を捻って水を出す

指先に伝って冷たい

「だめだぜ、前なんてアルコールでもないのに記憶飛ばしてんだもん」

うん、と小さく言って天井を見つめている

太ももをさする

首に蚊に刺さされがある

 

4

次の日、2階のエマさんの部屋

スケートボードを渡しにきた

大きいハイビスカスが描かれているクリーム色の2万円したやつ

リコがやるからって買って、1回目の練習で頭から転んで使わなくなった

エマさんは水槽のグッピーに餌をやっている

小さい冷蔵庫の上のロンリコ

「それ新しい台ですか?」

「ああ、うん。ヨーコと他のとこも見に行った方がいいかもなって話になって。炭の焚き方だったり、フレーバーの配分だったり。まあ、たかがシーシャだけど技術も磨けると思って。3ヶ月前からヨーコが駅前のシーシャバーで働き出したのもその一環」

「あー、あそこいいですよね。人いっぱい入ってるのに雰囲気落ち着いてて」

「うちと違って外見がカフェみたいだから、入りやすいしな」

「俺の知り合いがやってんだ、あそこ。最近別店舗出そうって話もしてたな。業者から大量に買うから、安くていいんだよな」

「そうなんですね」

息を吸う

「俺、明日からまた学校行こうと思って」

「最低一週間です。ゼミでなきゃいけなくて」

「その間、リコと居てくれませんか?」

「それに俺しか知らないのってどうかと思って。」

別にいいけどさ、それならヨーコを迎えに行ってくれよ

キヨスクでバイトしてんだろう?

 

5

バイト

ハシモトがいる 社員

ひさしぶり、またすごいくまだよ。しっかり寝てる?

アイスクリームのケースを開けて涼むワルガキに手を焼く

 

5

朝に近くの喫茶店に行く

流行ってなくて人も少ない

モーニングを頼む

会計の隣にいまだにタバコの棚、灰皿、日の焼けたモスグリーンのソファ

「キスしたそうな顔してたから、手引っ叩いちゃった」笑う

「冗談だろうから、やめてくれよ。大事な人なんだ」

「どこで出会ったんだっけ?」

俺のメンタルが潰れてる時、何故か小指を無くせば世界が優しくなるって妄想に取り憑かれてたんだ。酔った勢いで外の森まで出た。まだ朝が早くて周りがやっと明るくなってきた頃だった。草むらに手のひらを置いて包丁で切ってみたけど表面の肉が多少削がれるだけで、腱まで切ろうとしたらたぶん包丁なんかじゃダメなんだろうな。

たまたま入った謎の店だった。

彼ははじめは手から血を流してる俺を見て驚いてたけど、絆創膏とかテープとか巻いて看病してくれたんだ。それでシーシャ吸いながら話してくれた

インドに行ってて、そこでフレーバーとか見つけて、今の店のために仕入れてるんだ

だから、値段は高めだけど美味しいんだよ

インドでは犬に食べられるほど自由だ、って言葉が好きなんだ

あと、2人ともきつめに作るからこれじゃなきゃ満足できなくなってきたんだよな

 

6

バイトをする

ハシモト

アメ車乗りたいよな、

ハワイへの移住を画策している

店長の小指詰めたいよなあ

店長にFランだもんなあ、と馬鹿にされたことがある

店長も似たようなもんでしょ

イラついてコーラ瓶のケースに足の小指を軽くぶつける

 

7

ヨーコと待ち合わせる

長い髪を後ろで縛っている

シャッター街

ヨーコは写真を撮る

知り合って1年くらい経ってるくせにあんまり2人きりで話すことってなかったね

エマとは、いつからつるんでんの?

私たちが付き合ったのが1年前だから、私の2倍くらい彼といるんだ

良い奴だよね?包容力っていうか安心すんだよね

それに、社交的なんだよ、半年前くらいシーシャ界隈でパーティーがあった時、みんなと楽しそうに話してたもん。あんな見た目だけど、博識だしね

だから、こっちの人たちと関係を持てたらいいのにな、っていつも思う

でも、バイだから、って知ってるか

はい、寝てる時に股間触られたことあります

うっそっ!嫌じゃなかったんだ?

流石に反応はしなかったっすけど、別にって感じでした。エマさんだから、だと思います

へー、君やっぱり変わってるね

14日でしょう?送ってもらわなくて大丈夫だから。でも、彼には一緒に帰ったって言ってほしいの

なんで?

「なんで?ってニブいわね。ネコだったから彼、ちょっと早漏なの。」

じゃあね、と彼女はこちらの返事を待たずにドアを閉めた。

 

8

乾いたコンタクトがこびりついてる

バリカンで剃ってたら、リコがお風呂から出てきた

それに気づいて僕が顔を洗ってる間に捨てる

「私はボブだから自分で切ったらやばそう」

小さい声で甘えてくる

「麗子微笑みたいになりそうだな」

「ね、」よく知ったかぶりをする

「ヨーコさん忙しいじゃない?だからいろんなとこ連れてってくれるの!」

上目ではしゃぐ

しかも、古くなったシーシャ台と炭くれたんだよ!

洗面台の端に置いておいたピアスが床に散らばる

「ねぇ、いつもみたいに噛んで。ジュンが前飼ってたワンちゃんみたいに」

俺があんまり感情を出さない分、リコの感情の上がり下がりが二人の雰囲気を決めている

 

9

数日大学とバイトをして過ごす

リコは、リリーに通っているみたいで夜居る日もあればいない日もあった

アヤとハシモトと気怠げに話す

バイト終わった後に

「なんでジュンはバイト、キヨスクにしたの?」

「トレイン・スポッティング。駅の近くに居たかったんだ」

「生き急いで、そのくせして諦めてんだ。でも、案外大人もそんなもんなんだぜ」

ライン交換しようぜ

 

10

シーシャ屋

エマ「俺たちは、アンダー・ドッグなんだ」

噛ませ犬

スポーツの試合や選挙などで相手に到底勝ち目のないチームやプレイヤー

辞めようと思ってて

いいんじゃないか

チェキをめくりながら、そう言う。彼の目は真っ直ぐ次々とめくられていく画像に向けられている。

「ねぇ、ジュン。なんでシーシャが好きなんだい」

「何も中身のないと思っていた自分から煙が出ている。自分がすごい生命体になった気分になるんです」

こっち来なよ、シーシャ作ってみようぜ

横顔、距離が近い

熱い

 

10

シンク下の棚奥のウィスキーをコーラとライムと割って飲み干す

腕が棚にぶつかって砂糖の袋がシンクの油のこびりついたままの皿の上に落ちた。

その拍子に袋が破れて皿の上にぶちまけられる

指ですくって舐めると甘い。混じりっけのないストレートな甘さ

頭が痛くて目の奥が熱い

何かを打ち明ける時、いつも下を向いている

心臓だけが床のあたりまで下がっていて、それを落ちそうな眼でぼんやりと見つめている

そんな気分になる

辞めるかもって言うと、泣き出す

そうやって出不精で、不実行だからダメなんじゃない!

噛み付けない

 

11

リコがすいません

いいよ、いいよ、いつもの事だよ

それよりお前も酔ってんじゃねぇか、酒弱いんだからさ、控えめにしたほうがいいぜ

取り敢えず、明日もバイトだろう?リコはここで寝かせてればいいよ

2人で一緒にいるって決めてから気分落ち込まなくなったんですよ。でも、時々無性に投げ出したくなる時があるんです。

ほら、こっちで横になれよ

ソファで横になる

俺まだ何にもやってないのに。

話してくださいよ、インドの話

吐かれちゃ困るぜ、

エマさんは無視して、頭を撫でる

ヨーコさんが帰ってくる

なぁ、ヨーコ、実は全部前の彼氏からの受け売りなんだ、確か写真集の言葉だっけな

実際は2日目の朝のバザールで金全部すられちまってなあ、まあそのまま帰国するわけにもいかなかったから、大使館行ってパスポートとなけなしの金もらって、ホームレス同然で過ごした。数日居て最後の日に腹減りすぎてどうしようもなくなった時に街角の店の外壁にもたれかかったんだ。そしたら、そこがシーシャ屋で窓から甘い香りがしてて。アフザルのスモークを数倍濃くしたやつ。なんだか泣けてきちゃったんだよな。そっから何回もインドには行ったけど、ほぼ観光はせずにシーシャ屋ばっかりまわってんだ。こいつに話してるといつも自分が本当にインドで経験した気分になるんだ、全く自分でも笑える。

エマってば、いつも傷つくのが嫌なのね

そうみたいだ、と言ってもまたゆっくり撫でた

 

12

ガキにアイスをあげる

あとでお金を入れればいいや、

店長に殴られる

足で蹴って威嚇する

ふくらはぎを切る

アンがひいている

ヨーコに先に帰ってます、ってラインを送って帰る

 

13

冷たい水で顔を洗ってベッドに寝転がる

唇が切れてる

リコの帰ってきた音がする

顔を埋めてくる

「やっちゃったんだけど、」

泣き出してしまう

「俺がいけなかったんだ」

キスマークをつける

吸い上げる 歯を軽く当てたり噛んだりする

甘える

「ねぇ、海に行かない?」

 

14

コンビニに寄って、水を数本買う

キーを回してアクセルを入れる

バックミラーから掛けた人形が揺れる

ねぇ、この曲、前にリリーで流れてたやつ?

そう、ベイビースフィンクス95年のアルバム

「そういえば、どうしたの?口」

「店長に殴られた」

沈黙

「歌詞はこうなんだ」

君を見ていると、何が現実かわからなくなる

でも、僕は現実を生きていかなければならないんだ、一人きりでね

愚痴を言われる

リコは子供っぽい

彼女の熱が自分にうつって運転が荒くなる

「ねぇ、ちょっとスピード落とそうよ」

「あっぶない!」

スリップしてガードレールにぶつけかかる

リコは窓を開けて、笑い出した。本当、いつぶりかっていうほどだった

「前車乗って二人で遠出したのいつだったっけな。リコがふざけて邪魔してきたから大変だったね」

 

15

生ぬるい風が吹いていて、砂はまだ熱い

渚を歩く

傷が痛む

海に行こうとする彼女を引き止めて抱き止める

彼女が振り向いて股間が硬くなってないことに気づいて泣き出す

マーチンのサンダルが砂だらけになる

「私たちが初めて会った時の話して良い?」

砂がサンダルの中で溜まっていく

「私、もうエマさんのとこ、行かないようにする」

ペットボトルの水で砂を流して、車の中に放ってあった前にいつ使ったかもわからない酸っぱい匂いのするタオルで拭いた。

 

16

2

甘い匂いが立ち込めていた

なんの匂いだろうと、くずかごのパッケージを取るとタンジアーズのフォアプレイ・オン・ザ・ピーチだった

「新しい店のやつっすよね」

「あ、そうそう」

「よく覚えてんね、」

「うちの店員になればいいのに」「まあ、俺は別に」

「駅前の店、大変じゃないですか?」

「いや、新しく学べることも多くて、今までに比べれば生産的っていうか楽しいよ。全然」

タオルで首筋の汗を拭っている

ヨーコさんに私たちもやっちゃおって言われる

痩せ型で、それに不釣り合いなくらい胸が大きいものだから、文字通り実っているという言い方が適切だった。

「君、基本的に弱音吐かないでしょう?」

「もう、どうなっても構わないって思わないですか?」「そんなの、いつも思ってる」

「私はシーシャを作ってる時、人間じゃなくてシーシャを作るためのポンプになった気分になる。そのままなっちゃえばいいのに、って思う。その時が一番楽だもの。ほら、そう思えば脳も心臓も肺を動かすためだけのただの歯車になるでしょう?何にも考える必要なくなるじゃない」

匂いを嗅ぐ

めっちゃ下半身が反応する

拒絶する

 

17

久しぶりにショッピングモールに行く

掃除用具と整理する物を置いておく

絆創膏も買う

石鹸専門店でシーシャの香りに似た石鹸を買う

「シーシャの代わりになると思って」

何も言わなくなる

屋上に出ると重たい風、夜景が綺麗

 

17

風呂に入る

前みたいな態度で居ようと努める

前に座るリコが抱き抱える腕を振り解いて石鹸を手に包んで嗅ぐ

その彼女ごと後ろから抱く

身体を密着させる

少し反応した下半身が潰れてしまえばいいと思う

 

18

バイトに行く

悪ガキにアイスを買ってあげる

アイスをクーラーから出しながら、ハシモトに言う

海に行ってから気が楽になった

 

17

新品のシーシャのボトルが狭い廊下に並んでいる

ミツオカのバディ、買いたいよな

俺、ヨーコさんに誘われました

やりませんでしたけど

そうか、

あのシーシャバーと統合するんだ、駅前のところが2号店出そうって言ってて

店員が足りないんだ

さみしい顔すんなよ

なあ、俺の店で働かないか、家賃払えなかったらここに住めばいいし大学だって無理なく卒業できる

4人でやり直さないか

リコに言ったんですか

いや、まだ

キスをする

大きい手で顎を押さえつけてくる

半分くらいまで勃起してくる。唇を離して首筋の匂いを嗅ぐと落ち着いて何度も嗅いでしまう。汗と甘い匂いが混じった独特の匂い

いいんですか、

いいよ、お礼は前のスケートボードでいいから

帰ろうとして、ドアを開ける

ゆっくり開けたから余計に軋む音が響く

これ、持って帰っていいですか?

黄ばんだビニール袋に古いシーシャ一式とフレーバーを持って帰る

 

18

家に帰ってくると変に煙たかった。リコはシーシャを吸っていた

見様見真似で機材も揃ってないものだから、炭が熱くなりすぎていて強烈な甘い匂いをしていた

荷物を放って、クレイトップにペットボトルのサイダーをかける

後ろから抱きしめる

リコが咳き込む

「私、エマさんがいないとダメみたい」

「窓しめっぱでシーシャやって中毒で死んじゃえば良いんだよ、わたしたち」

硬くなっていることに気づくと身体に押し付ける

陰毛に沿って陰部に触れると指にべたべたとまとわりつくくらい濡れている

ゴムをつけてゆっくり入れる

後ろから彼女の腰に触れると汗ばんでいる

リコは身預けて腰を揺らす

何も考えずに、中で動き回る

身体越しに熱が伝わる

脚を絡ませて(まだ傷口が塞がってなくて痛いけれど)、出す

あえぎ声をあげていても手を強く握り返して受け止めてくれる

「エマさんの店で働かない? また吸おうよ、4人で」

窓の外を見ると空は白くなり始めている

目がチカチカして彼女のうなじに顔を埋める

その温かさに砂浜の熱さを思い出す

 

 

 

理想の青春像を過ごすこと、若くして成功することが若者にとって一つの勝負だとすれば、それをやる前から諦めて避けてしまっているネガティブ思考の若者はどうやって脱却すればいいのでしょうか。

僕が思うに、小さな成功体験(海に行くこと)と絶対的な存在への寄生(シーシャ店員になること)が大きな解決策だと思います。

それを形にしてみました。

 

全ての、生き急いでしまうアンダー・ドッグ思考の若者へ

 

将来への不安の解消

なぜ強く感じるか

アンダードッグだからきっと将来もこのままダメだと思ってしまう

 

 

・アンダー・ドッグからの脱却不安の解消

・ヘビとピアス

 オジロザウルス アンディモリ

・ウミさん サノさん ミサキさん

・海

・余白を意識(身長)

 

ジュン坊主 ピアス 生き急いでしまう

リコ ボブ 不安定 子供っぽい

エマ 軽くパーマのかかった長髪

ヨーコ長髪ポニー

 

・ウミさん感を出す

・オブジェクトと雰囲気を作る

・性的な記述を学ぶ

・セリフ、ファッションの統一

 

ヨーコに言いよる

「別にいいんです、もう」

さよなら、オパール(2023.3.23)

1day

アンのことを考えれば考えるほど、胸に埋まったオパールは膨らんでいった。

その塊は心臓の下、丁度胸の中央でまるでそこにいるのが当たり前であるかのように居座っていた。

絶えず心臓を圧迫し続けていた。

そんな得体のしれないものだった。

恋と似ているようで何か苦しさを感じるそれをオパールと名付けた。

 

2day

リョウは伏目がちに言った。

「アンのことが、好きなんだ。」

自分の中で腑に落ちた。そうだろうなとも思っていたし、彼の切り出し方も彼らしかったから、すんなりと飲み込めた。

彼は人差し指の腹で眉を触る。

その長く節の太い彼の指にはシルバー925のリングが光っていて、それが彼の一部として彼の魅力をより一層引き立てている。

彼は、おしゃれでかっこいいのだ。

おまけに頭が切れて、博識である。

今は4人で行動してるけれども、そもそも自習室で勉強していた僕らを彼が誘ったのがきっかけだった。

話す話題が尽きてしまいいつも困ってしまった僕らを引っ張ってくれたのは彼だった。

音楽が好きということとアンがいたということが大きな理由になっていたのかもしれない

だけどそう言われるまで全く気がつかなかった。

だから、中途半端な返事しかできなかった。

「いや、別にヨウには話しておくべきかなって思ってただけで、」

「リンなんて可愛いじゃんか。奥二重で」

「リンは、恋愛に興味ないと思うよ」

控えめに天井を見上げる。

不思議と彼とアンを取り合おうとは思わなかった。

彼が僕の中であまりにも完璧で、僕自身が心酔していたからかもしれない。

だけどこの思いを黙っておくには、肉のない僕の胸はあまりに小さすぎることには気づいていた。

彼はまっすぐ僕を見ていった。

「海に4人で行くのはどうだ?ヨウ、行きたいってずっと言ってたじゃないか」

彼の瞳には裸電球の明かりがうつっていた。

「いいね」

 

4day

夏のテスト終わりに4人で夕方の海に行く

いつもテスト勉強を一緒にしていた

海の懐かしさを匂いとしてのせる

やっぱりリンは器用

「リンはどうやって告白されたい?」

「わかんない」

大学の友達などいろいろな話をしながら砂丘の終わりまで行く

みんなでスタックした車を見つける

疲れてリンと二人で海を眺める

アンはいつもより楽しそう

フェミニン、子供っぽさの残る、はにかみ笑い

「そういやさっきの車、凄かったね」

疲れているけど、努めて明るく話題を振る

「またみんなで海に行かない?」

 

リョウとアンが車を取りに行く

「リョウって本当、かっこいいよな」

リンにアンへの好意を言う

「リンは好きな人、いないの?」

察する

 

5day

次の日の午後に起きる

一人で考える。正直思ってもみなかった

アンのどこが好きだったか

日課のアンの録音を聴く

『海ってこんなに綺麗だったっけ?』

 

6day

最後の授業

実習

白衣に着られている

僕らはまだ何者でもない

入れれば、安心できると信じていた

せいぜい嫌な夢を見るのが減った程度だ

相変わらずアンは寝ている

 

7day

準備

曲をかける

マイブラッディバレンタインのウェンユースリープ

この曲を聴きながらアンのことを考えているうちに、パブロフの犬のようになった

 

いつものようにシーシャ屋でリンと待ち合わせ

リョウはそんなもの吸いたくないと言って来なかった。アンには話したことすらなかった

先に来て本を読んでて何かと聞くと姫野カオルコのコルセット

ヒルな印象の中に熱がある

はっきりとした物言い

「アン、また落ちちゃうときついよね」

いつも目を見ていっていて今日は違和感

彼女の家の話をする

「ねぇ、僕は恋に恋していただけなのかもしれない」

「よくわかんなくなったんだ」

リンは表情は変わらないけど、口数が減る

「僕は精神的にフラットでいたい。誰かの頼りになりたい」

「私もわかるかも」

エキゾチックなキャップ

ジューシーって言うけれど乾いた煙

アルファーヘル

キツすぎると吸い込んだ途端にむせる

「美しくならなきゃ」

 

9day

リョウとカフェ

付き合うよう仕向ける

口から勝手に出ていた

水槽のネオンテトラ

「アンのこと、好きなんだろ?」

リョウはイヤリングをいじる

「でもヨウ含めてこの4人は大切に思ってるし、付き合っても俺らは変わらないからな」

「なぁ、いい日があって悪い日があるんじゃなくて、ずっと中途半端な優しさに包まれた日々が続けばいいのにな」

 

10day

研究棟のソファで

落ち着く

基本的に一日中薄暗い

匂い

なんであんなことを言ったんだろうと考える

リンと付き合おうとしてると気づく

リンに海に行かないかと送る

 

12day

リンが車を運転する

フィアット500

イタリア車特有のエンジンの振動

上手

「こんなの走ればすぐ上手くなるよ」

 

リンに海で告白

リンは恥ずかしそうにした

「ねぇ、前はアンのことが好きだって言ってたじゃない?」

潤んでいて宝石のような瞳

涙でコーティングされた宝石のような

それでいて、真の強い

「リョウくんから聞いたんだけど、」

「ならアンと付き合えばいいじゃない!」

「好きなところ言ってみて?」

「私は君の気持ちが中途半端なままなんて嫌なの」

「アンと二人でご飯に行って。たくさん話してよ。それで私にするんだったら、私の好きなところ10個教えてよ」

 

もっと言葉を慎重に選べばよかった

電気を消したまま、風呂に入る

タイルを足の親指で撫でる

髭剃りの刃を指先に当てる

渡す予定だったネックレスを温める

 

1315day

買い物

どこへ行くにも思案する

映画を見る

恋する惑星

心が晴れることのないまま、どうせなら映画のようにすると思う

全部受かってたってラインがくる

大袈裟に、わざとらしいくらいオーバーに返事をしあう

アンに連絡する

 

16day

アンとイタリアン

慣れない環状線を運転してアクセルを踏み込む

峠のレストランで下には夜景が見えた

風が下の街へと流れていく

丸くて大きい目、二重、ぷっくりとした唇

スプーンを添えてフォークに音を立てないように器用にくるくると巻きつける

「嬉しいんだ、今までこんなに仲良くした子いなかったから」

「好きな音楽は?」

髪を分ける仕草

80’sのドリーム・ポップ」

「ねぇ、ブラック・オパールって知ってる?」

 

18day

リョウから告白して、好きだけど考えさせてって言われたとラインで聞く

 

19day

リン報告する「ヨウは本当にそれでいいのね?」

変に沈黙が生まれてしまう

「頼られたい同士だし。」

「ねぇ、聞こえてる?」

「ん、ああ。ごめん。聞こえてるよ」

アンは僕の方なんて見てないはずだからな

 

夢を見る

大体夢というのは行動は起こるが何か話していることは珍しい

リンにネックレスをあげてベッドに押し倒す

胸から吊り下がったオパールを撫でる

軽く身体が痙攣して目が覚める

 

21day

港、海に行く

前と違ってぎこちない

アンだけが元気

「こんなに人といたこと、初めてなの」

 

23day

リョウ

グレーのセットアップ

「実はお前の気持ちに気づいていて。ごめん」

指輪をもらう

「リョウみたいにデカくないから、すぐ抜けちゃうよ」

そう思ってチェーン買っといたんだ

彼の熱い手

話すのが気持ちよくなって酔ってしまう

「そう言って解決するなら失恋なんて存在しないさ」

 

帰り道

「ねぇ、僕らって4人で暮らせると思わない?」

「当事者はLGBTと同じ本人の気質だと言っているけれど、僕は違うと思うんだ」

「ヒトは広い意味でみんなポリアモリーだと思うんだよ」

「全員ポリアモリーになれないだろう?」

「キスくらいできるさ」

彼が押しつけてくる

思いっきり剥がす

「そっ、そんなんじゃあ、な、くてさ!」

 

(リョウがアンに言う)

 

飲みすぎた反動か、吐き気がする

酩酊しながらリンの部屋に行く

「ヨウ!どうしたのよ」

「水、もらっていいかい。酔っちゃってどうしようもないんだ」

唾液が止まらない

「なんでこんなにオパールのようなんだろうね」

オパール?」

砕きたくても砕けないもどかしさ

胸に埋まった禍々しいオパールを取り外したくてたまらなかった

 

24day

朝廊下で目が覚めて、リンとカフェに行く

「私は強引なのは嫌」

「そういえば、アンとご飯に行ったの」

「ねぇ、まだアンのこと好きなの?」「私のどこが好きか整理はついた?」

「ねぇ、話をしていい?」

「ええ」

「ヨウって変な人ね」

「私と付き合ってよ。後悔させないよ」傾けたグラスを見つめたまま

 

2526day

夢を何度も見る

場所は変わる、タイル、地下

その一つ一つは些細なものだ

加害性について

 

27day

アンに相談される

「やっぱり付き合うのやめようと思って。私、好きってどういうことかわからないの」

「なんでそういうことを言うの?リョウに何か言われた?」

(リョウがヨウの本心を伝えた)

「リョウって正直いいやつじゃん」

「うん」

「博識で話も面白くて。おまけに気も利く」

「うん」

電話口に擦れる音が聞こえる。髪をいじってるんだろう

「付き合ってしまえばいいじゃない」

恋愛の話をする

 

リンと夜中に電話

「この前はごめん、」

割れたガラスを拾い集めるように慎重に

「僕のリンへの気持ちは好き、ではないと思うんだ。でも、だからどうした?」

優柔不断だって怒る

「ねぇ、キスはその証明になる?」

少し沈黙があって

「なるわけないじゃない。馬鹿にしないで」

切られる

 

28day

セミナー関連の提出物で学校に行く

リョウが謝ってきた

「ごめん、」

大学の研究棟

医学書を抱えていた

無精髭

頭の良い

 

最後にアンとのライン

ありがとう、君と話して踏ん切りがついたの。

暗闇の中でロック画面を見つめている

すぐ消した

『おやすみ』

瞬きが出来なかった

録音を消す

 

アンとのファーストインプレッション

オパールが出来た原因

 

29day

4人でシーシャに行く

「俺たち、付き合い始めたんだ」

初めてのことをする、アンのびくついている様子

「アンは、どんなお酒が好きなの?」

「甘いやつ」

リン「でもよかったね。ふたりともお似合い」

いろいろ話す

「頭痛くなっちゃった」

 

30day

リョウとご飯に行く

「これでしばらく2人でご飯に行くことはないような気がするよ」

       ・・・

「なんでアンに言ったんだ?」

「胸の中にオパールが埋まってるんだ」

 

31day

ご飯の約束をすると、意外にも次の日がいいと言った

窓の外の海鳥を見ている

パスタを食べる手が止まる

窓から正面に目を移すとアンはこちらをまっすぐ見つめていた

僕の気持ちを考えてくれていた

おっとりしてるように見えたアンは実は色々考えていた

「私、この4人がどうやったらみんな幸せになれるか考えてたの」

「また、4人が2人ずつになっても、4人でいろんなとこに行こうよ」

「ああ、」

「またね」

車から降りると窓を叩いてきた

開けると満足そうに笑って手を振る

 

32day

リンを誘う

2000円の花束を買う

前半のデジャヴ

 

今度は自分の運転で夕方の砂丘に行ってその入り口で止める

リンとぽつりぽつりと話しながら砂丘を越える

 

リンを砂に押し倒して沈黙

ネックレスをはめてあげようとするけど彼女は嫌がる

「キリッとした目」

「すっと伸びた鼻筋」

汗ばむ首筋を撫でる

「真が強いこと」

彼女の瞳は他の色を知らないかのように黒い光で満ちている

頬にキスをする

彼女の髪をすく

砂が指の隙間を伝う

「でも、こんな僕を受け入れてくれる」

彼女の指が僕の肋骨に触れる

次第にその力は強くなる

彼女の腕は僕の身体に埋まったオパールを砕こうとしている

さよなら、私のパルテノン(2023.2.9)

 

1.

アンのことを考えれば考えるほど、胸に埋まったオパールは膨らんでいった。

心臓を圧迫していた。

そんな得体のしれないものだった。

恋と似ているようで何か苦しさを感じるそれをオパールと名付けた。

 

2.

リョウは伏目がちに言った。

「アンのことが、好きなんだ。4人で行かないか」

自分の中ですとんと落ちた。そうだろうなとも思っていたし、彼の切り出し方も彼らしかったから、すんなりと飲み込めた。

「それならリンも連れて行かない?恋愛に興味ないだろうし、僕と仲良いからね」

それは僕も同じさ、と心の中で呟いた。

黙っておくには、肉のない僕の胸はあまりに小さすぎる。

 

2.

夏のテスト終わりに4人で夕方の海に行く

海の懐かしさを匂いとしてのせる

リンとはよく話す仲だったけれど、アンとはほとんど話さないし、リンとリョウが話すのは見たことなかったから新鮮だった

砂の城を作る

意外とリンが器用

「リンちゃんは、どうやって告白されたい?」

「花束渡されて、とか?」

大学の友達などいろいろな話をしながら砂丘の終わりまで行く

みんなでスタックした車を見つける

疲れてリンと二人で海を眺める

アンはいつもより楽しそう

「そういやさっきの車、凄かったね」

疲れているけど、努めて明るく話題を振る

「またこの4人で海に行かない?」

 

3.

リョウとアンが車を取りに行く

「リョウって本当、かっこいいよな」

リンにアンへの好意を言う

「リンは好きな人、いないの?」

察する

 

4.

一人で考える。正直面を食らってしまった。

アンのどこが好きだったか

肋骨を触る

日課のアンの録音を聴く

『海ってこんなに綺麗だったっけ?』

 

5.

授業

相変わらずアンは寝ている

 

6.

いつものようにシーシャ屋でリンと待ち合わせ

先に来て本を読んでて何かと聞くと姫野カオルコのコルセット

いつも目を見ていっていて今日は違和感

彼女の家の話をする

「ねぇ、僕は恋に恋していただけなのかもしれない」

「よくわかんなくなったんだ」

リンは表情は変わらないけど、声が半オクターブ上がった

彼女の口数が減る

「僕は精神的にフラットでいたい。誰かの頼りになりたい」

「私もわかるかも」

エキゾチックなキャップ

ジューシーって言うけれど乾いた煙

アルファーヘル

キツすぎると吸い込んだ途端にむせる

 

7.

リョウとバー

付き合うよう仕向ける

「アン、試験に落ちたみたいで」

口から勝手に出ていた

水槽のネオンテトラ

「アンのこと、好きなんだろ?」

彼女のアパートに行って再試験の勉強を教えてやればいいじゃない

リョウはイヤリングをいじる

「なぁ、平凡な日々の中でいい日があって悪い日があるんじゃなくて、ずっと中途半端な優しさに包まれた日々が続けばいいのにな」

 

8.

研究棟のソファで

落ち着く

基本的に一日中薄暗い

匂い

なんであんなことを言ったんだろうと考える

リンと付き合おうとしてると気づく

リンに海に行かないかと送る

 

9.

姉さんが車を使っててリンが車を運転する

フィアット500

イタリア車特有のエンジンの振動

上手

「こんなの走ればすぐ上手くなるよ」

 

10.

リンに海で告白

リンは恥ずかしそうにした

「ねぇ、前はアンのことが好きだって言ってたじゃない?」

潤んでいて宝石のような瞳

涙でコーティングされた宝石のような

それでいて、真の強い

「リョウくんから聞いたんだけど、」

「ならアンと付き合えばいいじゃない!」

「好きなところ言ってみて?」

「私は君の気持ちが中途半端なままなんて嫌なの」

「アンと二人でご飯に行って。それで私にするんだったら、私の好きなところ10個教えてよ」

 

11.

もっと言葉を慎重に選べばよかった

電気を消したまま、風呂に入る

渡す予定だったネックレスを温める

姉のラグジュアリーケースに入れる

人の心は大体柔らかいもので、その柔らかさを一生懸命硬そうに見せるものなのかもしれない

 

12.

実習でアンを見かける

リンは、一瞬目があって目配せをしてくる

 

13.

アンとイタリアン

慣れない環状線を運転してアクセルを踏み込む

万札を数枚サイフに入れて出てくる

スプーンを添えてフォークに音を立てないように器用にくるくると巻きつける

「ねぇ、ブラック・オパールって知ってる?」

子供っぽいアンに触れて、リンの良さに気づく

でもそれは暗に自分を納得させようとしているのではないかと思う

 

14.

リョウから告白して、好きだけど考えさせてって言われたとラインで聞く

 

15.

リン報告する「ヨウは本当にそれでいいのね?」

変に沈黙が生まれてしまう

「頼られたい同士だし。」

「ねぇ、聞こえてる?」

「ん、ああ。ごめん。聞こえてるよ」

「姉さんが帰ってきたから、今日はこれで」

アンは僕の方なんて見てないはずだからな

 

16.

夢を見る

大体夢というのは行動は起こるが何か話していることは珍しい

リンにネックレスをあげてベッドに押し倒す「"こんなこと"でしか喜ばせられないのね」

胸から吊り下がったオパールを撫でる

軽く身体が痙攣して目が覚める

夢精している

 

17.

リョウ実はお前の気持ちに気づいていてごめん

指輪をもらう

「リョウみたいにデカくないから、すぐ抜けちゃうよ」

そう思ってチェーン買っといたんだ

彼の熱い手

「なんでこんなにオパールのようなんだ!胸が張り裂けそうだ」

砕きたくても砕けないもどかしさ

胸に埋まった禍々しいオパールを取り外したくてたまらなかった

 

18.

リンから誘われるバーに行く

「私は強引なのは嫌」

「そういえば、アンとご飯に行ったの」

「ねぇ、まだアンのこと好きなの?」「私のどこが好きか整理はついた?」

「ヨウって変な人ね」

「私と付き合ってよ。後悔させないよ」傾けたグラスを見つめたまま

 

19.

いっそナイフで割って欲しい

加害性について

 

20.

アンに相談される

「やっぱり付き合うのやめようと思って。私、好きってどういうことかわからないの」

「リョウって正直いいやつじゃん」

「うん」

「博識で話も面白くて。おまけに気も利く」

「うん」

電話口に擦れる音が聞こえる。髪をいじってるんだろう

「付き合ってしまえばいいじゃない」

恋愛の話をする

「ヨウくんってポリアモリーって知ってる?」

 

21.

リンと夜中に電話

割れたガラスを拾い集めるように慎重に

優柔不断だって怒る

「ねぇ、キスはその証明になる?」

少し沈黙があって

「なるわけないじゃない。馬鹿にしないで」

切られる

 

22.

リョウからふたりの様子を聞く

大学の研究棟

医学書を抱えていた

無精髭

頭の良い

リンとすれ違い、アンのことを聞かれた

遊園地に行ったこと

 

23.

最後にアンとのライン

ありがとう、君と話して踏ん切りがついたの。

暗闇の中でロック画面を見つめている

すぐ消した

『おやすみ』

瞬きが出来なかった

はっとなって消して布団をかぶる

 

24.

4人でシーシャに行く

「俺たち、付き合い始めたんだ」

「アンがどうしても前みたいに4人で来たいって言ってさ」

初めてのことをする、アンのびくついている様子に目を逸らす

「アンは、どんなお酒が好きなの?」

「甘いやつ」

リン「でもよかったね。ふたりともお似合い」

ヨウがアンに話すことはない

「言いたいことがあるの」

「私のパルテノン神殿だったんだよ。夜、寂しくなったらみんなにもたれかかるんだ。みんな何にも言わないで寄り添ってくれる」

「頭痛くなっちゃった」

 

25.

リンを誘う

姉のケースから取り出す

2000円の花束を買う

 

26.

今度は自分の運転で夕方の砂丘に行ってその入り口で止める

リンとぽつりぽつりと話しながら砂丘を越える

「ねぇ、胸の中にオパールが埋まってるんだ」

 

27.

リンを砂に押し倒して沈黙

ネックレスをはめてあげようとするけど彼女は嫌がる

「キリッとした目」

「すっとした鼻筋」

汗ばむ首筋を撫でる

「真が強いこと」

頬にキスをする

「こんな僕を受け入れてくれること」

拒否しないのが心地よかった

彼女の指が僕の肋骨に触れる

次第に強くなる

彼女の腕は僕の身体に埋まったオパールを砕こうとしている

 

28.

おっとりしてるように見えたアンは実は色々考えていた

リンがヨウのことが好きなことを知っていた

「何がみえる?」

「私の方は海がみえるよ」

「さよなら、私のパルテノン」

 

【出発点】

①ただ好きだ、なんて恋はないんだと思う

 現実と理想を擦り合わせながら(それは時に

 は二人を苦しめたり悩ませたりすることもあ 

 るだろう)愛を渡していくのだ

②変わってしまうことと変わらないこと

③海

東京ラブストーリー(結局さとみを選ぶ)   好きな描写を書き出す

 悪の華(三角関係から逃げてしまう)

 まごころを君に/air(渚エンド)

 さよなら、絵里(全員の眼が特徴)

 オトナ帝国(無意識に。自分とアンの身体、

       仕草の描写が多い)

 百瀬、こっちを向いて(4人で行動したい)

 限りなく透明に近いブルー(触れ合い)

 風の歌を聴け(一人で思案)

4人の揺れる感情を浮き彫りにする

 

【外見】

リン

キリッとした目、奥二重

すっと伸びた鼻筋

小さめのサイズ、曲線

ヒルな印象の中に熱がある

はっきりとした物言い、ねぇ

 

リョウ

おしゃれ

かっこいい

勉強できる

音楽好きで博識

 

アン

丸くて大きい目、二重、ぷっくりとした唇

フェミニン、子供っぽさの残る、はにかみ笑い

髪を分ける仕草、細い線、ねぇ無し、くん付け

 

はじめ、リョウがアンに告白するために4人集まる

ヨウとリンもそれぞれ好きな人がいて、リョウも巻き込んでアンのいないところで動く

アンの再試の勉強を全員で見る終わってアンから提案

4人で出かける。その間にも電話をしあう全員楽しくなる

「愛ってのは与えるものだよ」(真実の愛を知らない)性欲と恋の運命性についてまだ明確な答えを出せていない

4Pをする崩壊する

リンと抜け出して、アンと電話する

 

ポリアモリー

所有しない愛

ブラック・オパール(2023.2.9)

1.

アンのことを考えれば考えるほど、胸に実った果実は膨らんでいった。それはオパールのように硬く見えて、イチジクのように柔らかい。一見黒い球体のようだけれど、光の当たり具合によっては鮮やかに輝く。そんな得体のしれないものだった。

僕はそれを恋と名付けた。彼女のことを考えてるようで、実際はその果実の熟れ具合を確認していただけなのかもしれない。

 

1.

リョウは伏目がちに言った。

「アンのことが、好きなんだ。4人で行かないか」

自分の中ですとんと落ちた。そうだろうなとも思っていたし、彼の切り出し方も彼らしかったから、すんなりと飲み込めた。

「それならリンも連れて行かないか。恋愛に興味ないだろうし、僕と仲良いからね」

それは僕も同じさ、と心の中で呟いた。

果実を蓄えるには、肉のない僕の胸はあまりに小さすぎる。

 

1.

夏のテスト終わりに4人で夕方の海に行く

海の懐かしさを匂いとしてのせる

リンとはよく話す仲だったけれど、アンとはほとんど話さないし、リンとリョウが話すのは見たことない

だから、彼にとってやりやすい状況だったのだろう

疲れてリンと二人で海を眺める

「そういやさっきの車、凄かったね」

砂浜にスタックした車

 

2.

リョウとアンが車を取りに行く

「リョウって本当、かっこいいよな」

リンにアンへの好意を言う

「リンは好きな人、いないの?」

察する

 

2.

一人で考える。正直面を食らってしまった。

アンのどこが好きだったか

鎖骨を触る

日課のアンの録音を聴く

『海ってこんなに綺麗だったっけ?』

 

3.

いつものようにシーシャ屋でリンと待ち合わせ

先に来て本を読んでて何かと聞くと姫野カオルコのコルセット

彼女の家の話をする

「ねぇ、僕は恋に恋していただけなのかもしれない」

「よくわかんなくなったんだ」

リンは表情は変わらないけど、声が半オクターブ上がった

異様に彼女の口数が減る

エキゾチックなキャップ

ジューシーって言うけれど乾いた煙

アルファーヘル

キツすぎると吸い込んだ途端にむせる

ブランドもののバッグ

 

4.

リョウとバー

付き合うよう仕向ける

口から勝手に出ていた

水槽のネオンテトラ

「アンのこと、好きなんだろ?」

彼女のアパートに行って再試験の勉強を教えてやればいいじゃないか

リョウはイヤリングをいじる

「なぁ、平凡な日々の中でいい日があって悪い日があるんじゃなくて、ずっと中途半端な優しさに包まれた日々が続けばいいのにな」

 

5.

研究棟のソファで

落ち着く

匂い

なんであんなことを言ったんだろうと考える

リンと付き合おうとしてると気づく

リンに海に行かないかと送る

 

5.

姉さんが車を使っててリンが車を運転する

フィアット500

上手

「こんなの走ればすぐ上手くなるよ」

 

6.

リンに海で告白

リンは恥ずかしそうにした

「ねぇ、前はアンのことが好きだって言ってたじゃない?」

潤んでいてブラック・オパールのような瞳

涙でコーティングされた宝石のような

それでいて、真の強い

「リョウくんから聞いたんだけど、」

「ならアンと付き合えばいいじゃない!」

「好きなところ言ってみて?」

「私は君の気持ちが中途半端なままなんて嫌なの」

「アンと二人でご飯に行って。それで私にするんだったら、私の好きなところ10個教えてよ」

 

6.

もっと言葉を慎重に選べばよかった

電気を消したまま、風呂に入る

渡す予定だったネックレスを温める

姉のラグジュアリーケースに入れる

人の心は硬く見えても柔らかいもので、その柔らかさを一生懸命硬そうに見せるものなのかもしれない

 

7.

アンとイタリアン

スプーンとフォークで音を立てないように

慣れない環状線を運転してアクセルを踏み込む

万札を数枚サイフに入れて出てくる

子供っぽいアンに触れて、リンの良さに気づく

でもそれは暗に自分を納得させようとしているのではないかと思う

 

8.

リョウから告白して、好きだけど考えさせてって言われたとラインで聞く

 

8.

リン報告する「ヨウは本当にそれでいいのね?」

変に沈黙が生まれてしまう

「ねぇ、聞こえてる?」

「ん、ああ。ごめん。聞こえてるよ」

「姉さんが帰ってきたから、今日はこれで」

アンは僕の方なんて見てないはずだからな

 

9.

夢を見る

リンにネックレスをあげてベッドに押し倒す「"こんなこと"でしか喜ばせられないのね」

胸から吊り下がったオパールを撫でる

 

10.

リョウ実はお前の気持ちに気づいていてごめん

指輪をもらう

「リョウみたいにデカくないから、すぐ抜けちゃうよ」

そう思ってチェーン買っといたんだ

彼の熱い手

「なんでこんなにブラック・オパールのようなんだ!胸が張り裂けそうだ」

胸に埋まった禍々しいオパールを取り外したくて必死だった

 

11.

リンから誘われるバーに行く

「私は強引なのは嫌」

「ねぇ、まだアンのこと好きなの?」「私のどこが好きか整理はついた?」

「私と付き合ってよ。後悔させないよ」傾けたグラスを見つめたまま

 

11.

いっそナイフで割いて欲しい

加害性について

知恵袋に相談する

 

12.

トンチンカンな答え

 

12.

アンに相談されるやっぱり付き合うのやめようと思って。私、好きってどういうことかわからないの

「リョウって正直いいやつじゃん」

「うん」

「博識で話も面白くて。おまけに気も利く」

「うん」

電話口に擦れる音が聞こえる。髪をいじってるんだろう

「付き合ってしまえばいいじゃない」

恋愛の話をする

 

13.

リンと夜中に電話

割れたガラスを拾い集めるように慎重に

優柔不断だって怒る

「ねぇ、キスはその証明になる?」

少し沈黙があって

「なるわけないじゃない。馬鹿にしないで」

切られる

 

14.

リョウからふたりの様子を聞く

大学の研究棟

医学書を抱えていた

遊園地に行ったこと

 

15.

最後にアンとのライン

ありがとう、君と話して踏ん切りがついたの。

暗闇の中でロック画面を見つめている

すぐ消した

『おやすみ』

瞬きが出来なかった

はっとなって消して布団をかぶる

いつまでもオパールの輝きは眼裏から消えなかった

 

16.

4人でシーシャに行く

「俺たち、付き合い始めたんだ」

「アンがどうしても前みたいに4人で来たいって言ってさ」

初めてのことをする、アンのびくついている様子に目を逸らす

「アンちゃんは、どんなお酒が好きなの?」「甘いやつ」

リン「でもよかったね。ふたりともお似合い」

 

16.

リンを誘う

姉のケースから取り出す

 

17.

夕方に砂丘に行ってその入り口で止める

リンとぽつりぽつりと話しながら砂丘を越える

「ねぇ、少し前まで胸の中で果実を育ててたんだ」

リンを砂に押し倒して沈黙

ネックレスをはめてあげようとするけど彼女は嫌がる

「キリッとした目」

「すっとした鼻筋」

汗ばむ首筋を撫でる

「真が強いこと」

頬にキスをする

「こんな僕を受け入れてくれること」

拒否しないのが心地よかった

彼女の指が僕の鎖骨に触れる。

彼女の指は僕の身体に穴を開けて破こうとしている

耽美なふたり(2023.2.11)

・距離は近すぎないのに密な空気感

・卒業という緊張感

・中学の様子を詳細に書く

 

1.加害性(熱には気づいている)

   誰も私を見てくれなかった!

2.接触拒否苦悩性欲の排除(キス)

   千切る彼女の告白(熱の気づき)

3.飾る(虚しい反発)抱擁

 

1

あと2週間で中学を卒業

まだ教室には人が少ない

彼女の絵が外された廊下が騒がしい

廊下には桜の切り絵があった

彼女は卒業してしまう

 

2

放課後に美術室に寄る

廃部寸前の美術部

机が山積みになっている

彼女もいる

「先輩、寂しいです」

ぴったりなサイズのセーラー服

なんで上級生が大人びて見えるか

制服に着られていないから

今まで書いたスケッチブックを見直している

丸椅子を持ってきて覗く

「凄く綺麗です」

「全く賞にも引っかからなかったんだし。君だけだよ、私の絵を褒めてくれるの」

「みんな気付いてないだけですよ」

「あーあ。みんな真っ白な紙から絵を描いてみればいいのよ。その難しさに気づくはず」

裏のゴミ捨て場でゴミ袋を持った下級生が遊んでいる

かじかむ手に息を吐いて温める

 

3

数日後卒業式の練習が始まった

見上げると鮮やかな天井画がある

それは、何が書いてあるのかいまいちわからない抽象的なモザイク画だった

いつか、彼女は好きだ、と言っていた

無意識に女子生徒のうなじを見つめる

また少しずつ身体がグロテスクになっていくような感じがする

僕は加害性だけ抱えている

傷つけてしまう、という確信が漠然とある

そういえばこんなに長い時間を過ごしていたのに彼女に一度も触れたことがないんだ、と気づいた

 

4

帰り際、廊下の絵を見る

静か

緻密で美しい

綺麗に取るとすると大変そう

美術室による

彼女の絵がある

孔雀の羽根

切り絵が貼られる前に2ヶ月間飾られていた

卒業式の後に両親と来て見せるのが楽しみだと言っていた

細かいけれど、それは怖さ、リアリティを覚えさせる

今思えば、早熟だったのだ

誰もその魅力に気づけないほどに

 

5

教室

シンに言う

「卒業だなんて嘘みたいだね」

「なんかあっけないね」

 

6

講堂での歌と言葉だけの練習

彼女の代表の言葉

一つ一つの動きを見つめる

彼女は細身で女子にしては背が高く僕と同じくらい

歌で女子だけが褒められている

声変わりによって奪われた高さ

僕は彼女を見つめている

 

7

講堂から出る時廊下で立ち止まり振り返る

みんな、寂しいと言いながら前に進んでいる

では、僕は?

 

8

練習もそこそこ進んできて

校舎端の美術室の掃除

水道でアルミバケツに水を汲んでくる

水が冷たくて手が痛い

筆を洗う

 

9

あらかた終わった頃に顧問が来る

「先生が作ったんですか?」

「明日の掃除も頑張ってくれよ」

「全然こなかったくせに、嫌な奴」

 

11

寒いから窓を閉めて窓際で話す

「私が、みんな全くわかってないんだって愚痴言って。君が頷いてくれて」

「でも、あと少しだから」

涙声が混じる

「こうやって君と話すのもきっと最後」

「誰も私を評価してくれなかった!」

彼女は羽根の絵を布で包む

 

12

頬に触れる

突き飛ばされて、拒絶される

彼女は驚いた顔をしている

彼女は先に出ていく

 

13

次の日

美術室でシンに相談する

いつも真面目に受け応えてくれる

「ふられたんだ」

彼は驚いている

「彼女の何が好きだったんだい?」

 

14

練習

彼女を見れなくて下を見ていた

黒い影ばかりを見つめていて気持ち悪くなる

綺麗に並ばせられた生徒たちをぐしゃぐしゃにしたい

 

15

ベッドに倒れ込む

彼女の仕草、言葉を反芻する

肋骨を抱く

熱を覚えている

居てもいられなくなって飛び出す

濡れたまま

最近走ってなかったせいか、喉が痛くなる

 

16

周りに人はいなかった

南校舎のいくつかの教室には明かりがついていて、補修をしている最中のようだった。

雨で廊下は薄暗い

誰もいない廊下

静か

寒くて震える

パジャントの石膏像にキスをする

冷たさに彼女が好きだと気づく

 

17

風邪っぽくてマスクをする

掃除

水道で水を汲んでくる

濡らした雑巾でほこりを拭き取る

石膏像を必要以上に磨く

目が合わせられない

「すみません」

「私こそ」

 

18

唾を飲み込む

口が乾いてしょうがない

「じゃあ、どうやって証明できるの?」

「ごめん、いじわるな言い方になっちゃうね」

「私なんて、高校落ちちゃって私立行っちゃうし。ねぇ、私なんてやめて他の子にしなよ」

 

19

放課後

熱に浮かれて

切り絵を外す

美術室に行って綺麗に閉じて汚れないようにする

画鋲は危ないから、ゴミ箱に捨てる

 

20

罪なんてひとつも考えなかった

机の上に広げる

 

21

犯人は誰か

教室はその話で持ちきりだった

シンが珍しく怒っていた

「相当虚しいことをしていると思うよ」

 

22

集会前に

花瓶が割れてユリの花が散らばる

隣のクラスの彼女だけが拾っている

白く細い腕で丁寧に

手伝う

 

23

全校集会

罪について

 

24

職員室に鍵を返しに行くと美術教師がいる

「なあ、君ならわかってくれるよな?」

「はい」

「先輩の元の絵とか飾ったら、どうですか?」

 

25

「少し話をしていいかな?」

彼女は検討がついている様子

この間ずっと考えてて

君を突き飛ばしたときと同じ熱を持ってた

熱をもらったの

私は、最高傑作ができたと思う

これから大きくなってもこれ以上のものはできない、下降線なの

これが描けたのは、君がいたからだよ

絵を描くのは、これで最後にしようと思う

もう明日、来ないんでしょ

ありがとね

「ん、握手」

 

26

最終練習

彼女の様子が気になる

機敏

黒い制服にユリの造花が映えていた

ニュルンベルクのマイスタージンガー

主よ、人の望みの喜びよ

荘厳なメロディー

モザイク画は変わらず鮮やかだけれど、不思議と以前のようにグロテスクだとは思わなかった

そうあって然るべき、な形状であった

泣きそうになって、目を瞑る

 

27

靴箱にまだ入っていて踊り場で彼女を見つける

彼女はセーラー服のポケットから画鋲を取り出して言う

「君でしょ?」

涙が溜まっている

      ・・・

「君が破ってくれたんでしょう?」

窓にあたる雨粒を見つめる

「ねぇ、一緒に埋めない?」

 

28

誰もいない裏口から上履きのまま出る

雨に濡れながら埋める

僕が掘ると隣で彼女は取りだして埋める

熱が競り上がってくる

「もしやめるんだったらスケッチブック、ください。僕は見続けます、ずっと」

彼女はこっちを見ない

 

29

戻る途中で数人のクラスメイトとすれ違う

早足になる

手すりにもたれかかる

脱力して首が上にあがらない

 

30

疲れきって帰ろうとした、瞬間。

彼女は孔雀の羽根の油絵を壁に飾る

見惚れているのか動かない

それが不意に不安になる

後ろから抱きしめる

彼女の胸は小刻みに震えている

尖端も、その存在を認めてあげられるように包み込む

ルフと砂丘(2022.12.31)

今の状況を表現したい

・愛の性質

 一方通行実験動物にも、家族へも

     結局してほしかったことの裏返し

 この恋だけは伝えたいメンヘラチック

・自分が一番大切

「それは私も同じ」

「片想いから始まる愛は無いんじゃないか」

・だからこそ祈る

 愛情が伝わって、尚且つ返ってくると信じたいから、祈りは愛情に必須

・海への憧れ

フェチ内弁慶な女性

基本受け身最後、強引になる

 

「愛情ってなんでこんなにも一方通行なんだろうね?」

実験用バルモッド

遠くの班で彼女が撫でている

 

「その時は私を殺してよ」

 

「良き時も悪き時も、富める時も貧しき時も、病める時も健やかなる時も、等しく愛を与えたいんだ」

 

「平凡な日々の中でいい日があって悪い日があるんじゃなくて、ずっと中途半端な優しさに包まれた日々が続けばいいのにな」

 

「もういないってわかってるんじゃないの?」

 

[ヨウ]

愛について考えている

リンと付き合っている

アンのことが好きだった

 

[リン]

ルフ会に入っている

 

[アン]

勉強嫌い

テスト勉強をしない

去年彼女に勉強を教えていったことにして書きたい

テストを休んで海に行く

ルフをみるだけで何か救われるような気がする

海岸に行けば何か救われるような気がする

を大きくしたもの

自殺将来への不安、いじめ

 

そうだ、今見なければいけないのは彼女だ

涙が出てくる

本当は「ごめん、君だけを見ていくよ」と言わなきゃダメ

もういない彼女と別れるのが悲しくて泣いている

 

自分の住む街を軸に作りたい

大学の研究棟

シーシャ屋

アパート

仲間たち

駅前

半引きこもり

毛玉だらけのセーター、タバコ

甘いお酒

グランジ

紺のコート

指輪

姫野カオルコのコルセット

シーシャのキャップ

エキゾチックな感じ

医学書

古い図鑑

ジューシーって言うけれど乾いた煙

アルファーヘル

キツすぎると吸い込んだ途端にむせる

 

マルコポーロの東方見聞録

マダガスカルエピオルニス

まさか、数百年後に極東で発見されるのは思ってなかっただろう

太平洋を一望できる大きな砂丘

個体数が少ない

長寿でナワバリ意識が強い

神として崇められている

でも、彼女は違う

まるで天啓のように会えば全てが良くなるのだと盲信的に信じていた

ルフはこっちを見ない(大きさ)

重みのあるモンスター

モンスターを影から見る感じ

 

火を吐いて街を燃やしてもらう

リン協会への復習

ヨウアンの仇

アンのライン「ロック鳥が火を吐いてたの!」

 

途中で見に行ったら本当に火を吐いてた

居酒屋でリン「私と付き合ってよ。後悔させないよ」グラスを見つめたまま

 

今思えば、それは逃避行だった。生活も何もかも捨てて、でも自殺をするわけでもなく、ただルフをこの目に焼き付けたかったのだ。

 

どれだけ良いだろうか?

それができないから私たち、拗らせてるんじゃない?

それだけ。

「ねぇ、そう思わない?」

トニックウォーターを飲んで彼女はそう言った。

つんくのシングルベッドの最初が好き。

グランジ

 

「ねぇ、なんで私がいつもグアバジュースとグアバのフレーバーしか吸わないと思う?」

 

フェチ内弁慶な女性

基本受け身最後、強引になる

その余韻をつけてもいい

 

自分の住む街を軸に作りたい

大学の研究棟、シーシャ屋、アパート 駅前

半引きこもり

車 海

サルマキス(2021.7.13)

 

【原題】マスカット

 

【テーマ】

910

・理想の大学生群像(陶酔、諍い)

・「恋」とは、どのような感情なのか

・将来の不安若さへの信仰

             ジャム

             創作

 将来の不安依存    

・気配りのできる理想のコミュニケーション

・芸術家のナイーブな関わり

・概念的だけれども明確なオブジェクト

 

【モチーフ】

・石膏の天使像それぞれのセリフ

・マスカット

・ほこりの積もった部屋

 

【語り】

・恋

・若さ依存、創作

(ジャムは行為として)

オリエンタリズム

 

①芸術、性行為の約束、煙草、部屋

②シーシャ屋に行く

 3人でデカタンスで満たされた生活

 語り(互いの趣味も)を多くする

④オーナーに若さの話をする

 同級生の女

④女の自殺未遂、3角関係の露呈

⑤同級の女に吐露、依存を自覚

⑥ゲイ

⑦オーナーの女に抱きつく

 

それぞれの好きな感じに埋まっていく

契約

マスカットを毎日食べること

満たされること

僕らは、確かに祈っていた

特に、僕はこの3人の関係性を祈っていた

文学、観葉植物を置いていく

ネイル、マスカットをこぼす

石膏、カーペットを広げて靴を増やす

化粧品

マスカットジュース

果汁がついたシャツ

果実の対象、対照としての白い壁、物

石膏の天使像インテリア

サルマキス

ドライフラワー

トゲ

マスカット

「恋って、なんだと思う?」「笑わないでくれよ、真剣なんだ」

靴を履く

渇き

粘液性の潤い

3人での裸の触れ合い

痩せて不健康

大学で出会った3人で暮らし始める

大学近くのがっしりした構えのマンション

一人が気を利かせて、いない場面でお金を渡すシーン

芸術嗜好

映画(粉、ウール、リアリズム)

命令口調やめろ

生と死の間の雰囲気

男女二人が誘ってくる

女の自殺未遂の事件

乾いた血

高い戸棚と本棚、仕切りで区切られた部屋

3人で3人分の喜びをシェアできればいいと思わない?」

腐った時にいい匂いがした方がいい

はすに構えた形

果実の香り

開けたら、中がある程度グロテスクなもの

ジャムの瓶の中で虫が沸いている

チョウバエ

マスターベーション

テナント

煙草を広める

酒を飲む

ボーイズラブ

ジェンダー論のタイトルを見ると吐き気がする

浪人生の時に通っていた図書館のジェンダー論コーナーの古臭い匂い

 

「お前の裸で興奮できれば、最高なのにな」

「じゃあ、このキスはなんだ?」

「忠誠の誓いさ」

男もまんざらではない様子

真の強さ、正しさ

店長強さもありつつの包容力(女の対比)

僕以外は、自分にない要素を持っている

鼻と背の高さ、胸の膨らみ、強い意志

それへの憧れがある

年齢に対する恐れ

白のセットアップ

ユリの花束を買ってきて、最後は自分が部屋を出て行く

瓶を投げる

シーシャ屋のオーナーの女

最後汚れてしまってもオーナーを抱きしめる

オーナーは手を包む

 

ノルウェイの森

レディアンドオールドマン

東京ラブストーリー

 

「好きって感情は、きっと束縛なんだよ」

 

両親は、いわゆる性愛的なものを持っていなかった

 

彼は、大学に入ってからたくさんのことを教えてくれた。煙草だってファッションだって車だって興味のを持ったのはいつだって彼の影響だった。

 

マスカットを一粒もぎって口に放り込む

 

皮がちぎれる感触の後に果肉が舌の上をゆっくりと滑っていくのがわかる。

 

最後、オーナーも将来を見据えてのことだとわかる。

 

終盤、このカフェも閉めようと思ってるのと相談

 

窓辺のサルマキス

サルマキスに魅せられた少年はそのあとどうするのか結局戻ってくる

 

恋とは、独占願望と憧れである